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​第六話:比叡

・弐・

 複数の燈台(とうだい)が、時折一定方向へ炎を揺らす。

 秋の終わりの風は肌を刺すように冷たい。火鉢もそこここに置いてあるが、山の風が吹き抜けてはなかなか部屋も暖まらないだろうと思われた。

 四半刻ほども待たされた後、

「遅くなりました」

 引き戸の向こうから、比較的若い声が響いてきた。

 座主(ざしゅ)ではなさそうだが、こちらにはどうしようもない。黙って衣の擦れる音、次いで襖の開く音を耳にすると、現れた僧に三人揃って一礼をした。

 紫色の袈裟(けさ)だ。高僧であることは間違いなさそうだった。

 彼は自分らの前に正座をすると、深々と一礼をした。

 釣られて春野宮(はるのみや)達も、二度目の辞儀を返す。

「私は澄海(ちょうかい)大師(だいし)と申します」

「…迦楼羅院(かるらいん)霜珠(そうじゅ)殿の、一番弟子の?」

「ええ」

『流石、神々廻(ししば)さん!』

 春野宮が舌を巻いた横で、神々廻が話を進めてくれた。

「私は鬼殺隊岩柱、神々廻主水(もんど)です」

「昇柱(のぼりばしら)、三条(さんじょう)春野宮天晴(たかはる)です。宜しくお願いします」

 一瞬、澄海がはっとしたように思えた。それに気付いた一(はじめ)が間を置く。だが澄海は、自己紹介の席を濁しはしなかった。

 恐れ多そうに、

「佐々木一。甲(きのえ)です。春野宮様のお側に仕えさせて頂きます」

 よしなに、と深々と頭を下げた彼に、澄海が全てを察したようだった。

鬼殺隊三名の身は、霜珠様の面目のためにも必ず護ります。どうか鬼を屠(ほふ)るべく、こちらこそ…力をお貸し下さい」

 澄海は、畳に額を擦りつけるほど深く腰を折った。丁寧な姿に、余程困り果てているのかと春野宮は思ったが、神々廻は慌てて「面を」と、膝を進め手を添える。

 澄海はゆっくり面を上げると、申し訳なさそうに口火を切った。

「本来であれば、文を寄越した座主・霜珠がこちらに赴くべきですが…申し訳ない。既に座主はお隠れになっているのです。今宵の場所は、近しい者しか知らぬので…出ることも叶わず」

「それは。命が狙われているとでも?」

 神々廻の言に、澄海が頷く。

「霜珠様が鬼殺隊に援護を依頼されたのは、鬼にお命を狙われたからです」

 三人は顔を見合わせた。

「その時は、総出で懸命に追い払いましたが」

 標的をはっきりと絞ってくる鬼など、これまでにない。

「あの。鬼に狙われたときの様子に、特徴などはありますか?」

 春野宮が身を乗り出した。

「偶々(たまたま)ではないのですよね?」

「はい…」

 澄海の頷きに、溜息が混ざった。

「翌朝、霜珠様と検分いたしました。霜珠様は香を焚いておられます。大師もそうではありますが、霜珠様のそれは南蛮(なんばん)由来の物を使用なされたりと、二つとありません。それが誘因になったのか。それとも、場所が既に知られていたのか」

「既にって…」

 春野宮は息を飲んだ。

「場所は皆知りうるわけですか? 知る人の数が限られているとしたら、鬼に内通している僧がいるかもって事になりますけど」

 知らず、声が低く小さくなる。口調もつい元に戻りそうになって、慌てて取り繕った。

 澄海は項垂れて、

「はい…」

 先程の溜息の理由が分かったような気がした。春野宮が口を閉ざすと、顎に手をやり俯き加減で考え込んでいた神々廻が身を起こした。

「そこから先は、調べようがなかったって事でしょうか。御身(おんみ)を犠牲にもう一度策を弄すには、危険すぎる。万が一って事も…」

「その通りです。実は…、思い当たる節がありまして、」

 澄海がその名を告げようとしたときだった。

 静寂に包まれた比叡(ひえい)の山に、法螺貝(ほらがい)が響き渡る。

「「「!」」」

 三人は武器を手に取り、すぐさま立ち上がった。

「陣貝(じんがい)だ…!」

 青ざめて言ったのは春野宮だ。戦場(いくさば)であれば、それは敵襲を意味する。

「神々廻さん!」

「ああ! 鬼ですね!?」

 神々廻が二言目で、澄海に確認を取った。

「は、はい…!」

 その間にも春野宮は弓袋から弓を取り出して、弦(つる)を張った。

「一、君は澄海様を護って。戦闘時なら、僕は大丈夫!」

「畏(かしこ)まりました! お気を付けて、春野宮様!」

「うん!」

 話している間に、神々廻が先に庵を出る。春野宮も後を追った。

「音がした方で良いの!?」

 風を切る音に負けまいと、春野宮が神々廻の背中に大声を掛けた。

「ああ! 陣容を確認する間がなかったな!」

「その分鬼には先に遭えるよ、なんなら討っちゃってもいいんじゃない? 座主様には話聞く前だしさ」

「! なるほど。それもそうだ!」

 神々廻のほくそ笑む声が聞こえた。

 春野宮は身軽さを活かして、神々廻の隣に颯爽と並ぶ。

 林立する杉の間隔も狭く、春野宮は弓を縦にして持つ以外構えようもなかった。

 東塔(とうどう)地区から木立を抜けて、西塔(さいどう)地区へと直線距離で向かうが、

「広すぎ…!」

 神々廻も珍しく舌打ちした。

「山を抜けてるんだ、これでも早いほうなんだが…!」

 と。二度目の陣貝(じんがい)が夜空に響き渡る。

「!?」

「二度目の陣貝!?」

 二人は吃驚(きっきょう)した。

「別の方から聞こえてきたよね? 今!」

「ああ。俺もそう聞こえた。しかも先程より音がかなり小さい。より、遠いぞ」

「御館様、兄弟鬼って言ってたよね! ほぼ同時に出現てこと?」

 春野宮の脳裏に、数年前の巌勝(みちかつ)の初陣(ういじん)が過ぎった。が、状況はかなり異なる。

「あり得る。瞬時に移動する方法など、如何(いか)な鬼とて持ち得てはいないだろう! 無理だ!」

「神々廻さん、僕、二度目の音の方へ行くよ!」

「はる…! そうだな、二手に分かれよう! きっと二度目は、横川(よかわ)地区からだ」

「分かった! 更に奥へ進んでみる!」

「頼んだ、はる!」

「うん!」

 西塔地区はその象徴である浄土院(じょうどいん)へ辿り着いたところで、春野宮は神々廻と別れた。

 鬼と戦った後なのだろうか、負傷した僧兵がちらほら見える。三々五々動く僧兵たちを見る限り、まるで統制がなっていないように思えた。

 横目に、神々廻が、慌てふためく僧侶の一人を捕まえたのを見る。

『きっと後から詳細は聞ける。今はとにかく…!』

 凜とした面を上げて空を眺めると、春野宮は飛翔した。杉の木立を抜けて走るより、呼吸を紡ぎ木から木へ跳ねて天を渡る方が自身には速い。

 撥条(ばね)のように天高く舞い上がった若く見目麗しい鬼狩りに、その場に居た者達は一瞬目を奪われ、感嘆の吐息を漏らした。

「鬼狩りだ!」

「来てくれたんだ!」

 とあちこちから声が聞こえたが、片言の内容を拾う限り、決して手には負えていないことが分かる。

『比叡が手玉に取られてるのか…! 澄海殿の憔悴しきった様は本当に』

 春野宮は舌打ちした。

『もしかしたら、そう簡単にはいかないかも…! 今回の任務』

 春野宮は釈迦堂(しゃかどう)から居士林(こじりん)を飛び抜き、参詣道を辿るようにして更に奥の横川地区へと向かった。

『遠い…!』

 折しも紅葉の美しい時節だ。篝火(かがりび)に照らされる森はまるで燃え上がるように闇夜を彩る。目に収められる範囲では炎の波が揺らぐばかりで、横川の寺院はまるで見えなかった。

『こんなに遠いのか…! 陣貝の音が届くぎりぎりだったのかも知れない!』

 鬼狩りになる前。ゆっくり表鬼門(おもてきもん)を参拝することなどなかった。

 武家三条の当主に収まっていれば、挨拶に来ることもあったろう。しかし、それは、別の未来だ。

『幼い頃聞いた比叡の話だと…西塔地区から横川地区までは、大人の足でも一刻(いっこく)かかると聞いた…!』

 如何な鬼狩りとて、瞬時に距離を縮められるわけではない。

『義政(よしまさ)ほどの足の速さがあれば、或いは間に合うかも知れないけど』

 果たして。

 思った通りだった。四半刻(しはんとき)程遅れて横川に着いた春野宮は、散々な状況を目の当たりにした。

「指揮官は!」

 弓を袈裟に懸けながら、声を張り上げる。

 一カ所に集められた負傷した者達が、疲れ切った表情でこちらを見、延びきった僧兵の隊列の最前線はまだ、鬼を追って山へ分け入っているようだ。

 鬼は基本群れない。が、兄弟鬼だと分かっているのだ。

『これが戦なら、間を分断されて共に壊滅だぞ』

 春野宮の顔が渋くなった。

『良くこれで、今まで持ったな…』

 一匹なら僧の数で十分追い立てられようが、もう一匹に待ち伏せでもされれば終(しま)いだ。

『巌勝の初陣の時もそうだったけど。二匹が何を介して連携取っているか、早急に解かないと』

 まさかとは思うが。

 と、春野宮は唾を喉奥へ押しやった。

『霜珠様のお命の件といい、もし。本当に内通者がいたとしたら。それこそ陣貝が、合図だとも限らないんじゃ…!』

 確かめることは山積みだ、と、春野宮は溜息を吐いた。

 その脇に、老練の僧兵が歩み寄って来、

「もし。よもや…鬼狩り様ですか!」

「え、あ、はい」

「ああ。ああ…お待ちしておりました!」

 その者は、玄安(げんあん)大師と名乗った。

「どうかこちらへ」

 招かれて、横川中堂(ちゅうどう)へと向かう。

「ちょっと待って…日ノ卯(ひのう)!」

 春野宮は天を見上げ、信頼する友を呼んだ。

『はる! どうした』

 すぐさま舞い降りた漆黒の鴉に、今宵はこのまま横川に待機することを伝え、西塔の神々廻、東塔の一に言伝(ことづて)るよう託した。

 日ノ卯は任せろとばかりに翼を大きく広げると、まずは、神々廻の元へと飛んでいく。見送り、中堂へ身を移す頃には、神々廻の金剛丸(こんごうまる)が訪れ、西塔に待機する旨を伝えられた。

「思うことは皆同じ、か」

 須臾(しゅゆ)の間だけ、春野宮の顔が綻んだ。

 柱が柱たる所以(ゆえん)、その頼もしさを感じた、小さな出来事だった。



 翌朝、日が昇ってより行動を開始した春野宮は、まず、西塔へ向かった。神々廻と合流するためだ。

 だが、西塔に彼の姿は既になく、澄海を訪れるべく東塔に向かった後だったと知った。

『鴉がいてくれて良かった、こんな行き違いを何度も繰り返してたら、鬼退治どころじゃない』

 西塔を出るときには一の鴉が降り立ち、二人が合流したことを知る。幸い、西塔から東塔へは真剣に走ればすぐだ。春野宮は徹夜の躯に鞭打って、東塔へと向かった。

 比叡は既に、沢山の巡礼者達で賑わっている。まさか天を駆けて行くわけにもいかず、人目に付かない木立の中を急いだ。杉の木の合間に鐘楼(しょうろう)が見えてくると、人でごった返す通りにいきなりは出ず、篝火の方へと回る。

 消してまだ数刻も経っていないのだろう、炭が小さく爆ぜた音を立てる脇に立って、春野宮は、す…と、人の波に身を紛らわせた。

 総本堂(そうほんどう)まで行き着くと、

「神々廻さん!」

 岩柱が表で待ってくれていた。

「お疲れ…はる」

「神々廻さんも。一は?」

「彼はまだ澄海殿と一緒だ。そろそろ戻ると思うが」

「そっか」

 言うが速いか、噂の彼が合流する。二人ほど、比叡の僧兵を連れていた。

「春野宮様! ご無事で」

 明るい声に、春野宮の相好も崩れる。

 彼らは? と言う問いには神妙な面持ちで一は頷いて、

「澄海殿よりこの時刻、警備を任された二人です。ここから程近い庵を宛(あて)がわれたので、案内しますね」

 話は道中で、と付け足した一に、春野宮は神々廻と共に続いた。

 前を一が、後ろを澄海の弟子二人が付き従い、人の波に紛れながら東塔は更に奥の、阿弥陀堂(あみだどう)の方まで進む。そこからだと、西塔へ向かう参道が目と鼻の先だ。

『もしかしたら、察してくれたのかな?』

 春野宮は思ったが、答えはどちらでもいい。東塔と西塔の中間に程近い庵であることが、まだ、有難かった。

『できれば、西塔は横川地区への参道脇…黒谷(くろだに)辺りに潜めれば、一番だったんだけど』

 何分、西塔から横川までが相当距離があるのだ。その中ほどでないと、時間を短縮できるとは言い難い。

 思ったことは神々廻も同じだったようで、「ここです」案内された庵を見ては、それを一に告げた。

 一もそれは気にしていた様子で、

「すぐに用意できる場所が、ここだけだったようです。各庵は修行僧達も利用されているようなので、何分調整が大変な様で」

「なるほど」

「それと、本日夕刻までは澄海様はお勤めで忙しくされてらっしゃいます。一先ずお二人はゆっくりと、休息を取って下さい」

 春野宮は神々廻と顔を見合わせた。

 すぐにでも、話やら調整やら伺わなければと思っていただけに、拍子が抜けたと言えばそうだ。だが、休めるなら、それは願ったりだ。

 僧兵が庵の戸の南京を外し、中へと案内してくれる。

 既に食事が整っており、庭先には別の護衛の姿がちらりと見えた。

「…大丈夫かな。逆に目立っちゃわない?」

 春野宮が言うと、神々廻が苦い笑みを零し、

「ただの庵だ、昼間であれば、間違えて参拝者が訪れないとも限らない。俺たちがそれにいちいち対応していたら、それこそ一睡もできなくなるぞ」

「あ。確かに」

「かといって宿坊(しゅくぼう)に昼間居座るのは勤めもある彼らに悪いだろうし、これが苦肉の策なんだろう」

 手水舎(ちょうずしゃ)で手を洗い、室内に上がる。

 焼き魚の香ばしい匂いに、力が抜けるようだった。

「毒味役も私が確認しています」

「一…ありがとう、本当に」

「いえ」

 何より、気遣ってくれた縁壱(よりいち)に心の中で感謝した。長丁場になりそうな気配だ、彼がいるといないのとでは、大きく違ってくると思った。

 山の小鳥たちが長閑(のどか)に囀(さえず)る庵で、三人は、膳を囲んだ。

 獲物は側に置いたまま、仕舞うことは決してなかったが、人心地付いた気がする。

 まだ温かい汁物を口に含んで、春野宮は、ほぅ…と吐息を漏らした。

 食事しながらでも、睡魔に襲われる前に、気になることだけは話しておこうと思った。

「神々廻さん、今夜のことなんだけど」

「ああ。俺も。今考えていた」

 咀嚼(そしゃく)する合間に言葉を挟む。

「横川で会った大師に話が聞けたんだ、僧兵のこと」

「そうか…やっぱりそこが気になるよな」

「うん。神々廻さんも?」

「ああ。西塔で聞いた。だが、統制はないようだ」

「それ。猩々(しょうじょう)緋鉱石(ひこうせき)でできた武器のことも僧の末端までは知らなくて、比叡に幾つあって誰が持ってるかなんて、まるで分からない様だったよ。鬼を倒す気、あるのかな?」

 神々廻が唸る。

「座主の居所といい、ばらばらな動きといい、澄海殿の心労が目に浮かぶようだな。何処に鬼が現れるか分からない以上、まず、僧兵たちを纏めねばならん」

「そうだよね。そこからだよね」

「ああ」

 二人は同時に、一を見遣る。

 強い視線を受けた彼は少し戸惑ったようだが、言いたいことは分かったようで、

「澄海様は昨夜、徹夜でした。多分ですが…入れ違いに睡眠を取られるかと、」

「やっぱりそうなるか…」

 一の言も終わらぬうちに、春野宮は長い息を吐いた。神々廻が言う。

「座主は? 僧兵を纏めるのには、ここの組織を知る必要がある。座主でなくとも、高僧に話ができないことには」

「はい、そうだろうと思い、座主・霜珠様へのお目通りは叶っております。澄海殿を通して、今宵、逢えるよう手筈を整えておきました」

「! 良かった…! 一、良くやった!」

「だな! お手柄! 二進も三進も(にっちもさっちも)いかなくなるかと思ったぞ」

 一が照れくさそうに俯き加減になる。「ただ、」と、彼は慌てて付け足した。

「霜珠様の今宵の警備は、お二人に任せることになります。座主の身辺は、思ったより深刻な様子ですよ」

「分かった」

 春野宮が頷くと、神々廻も茶を口に含んで後首を縦に振った。

「色々面倒毎が多そうだな、今回の案件」

「依頼元が大きいと、こういう苦労があるんだね…今後の一つの例になるかも」

「確かに。比叡ほどの規模は滅多にないだろうが、それこそ幕府やら朝廷やらに鬼が巣くいはじめたら、大変だぞ」

「陰陽師(おんみょうじ)が狩る鬼とはまた違うしね。こっちは実態もあれば人も食べるし」

「そう言うことだ。人間の営みに潜伏されることほど怖いことはない」

 三人は手を合わせ、馳走に一言告げた。

 神々廻が小さく息を吐きながら、

「一先ず、寝よう。今夜も長くなりそうだ」

「そうだね。色々決まったら、気が抜けて来ちゃった」

「腹も満たされたしな」

「それ!」

 二人の柱は笑みを交わし、「後は私が」と引き受けてくれた一に礼を言う。彼は膳を一旦部屋の隅に置くと、すぐに護衛の僧兵と共に布団を敷いてくれた。

 春野宮が弓と弽(ゆがけ)の手入れをし、髪を解く頃には、神々廻も袈裟を脱いで畳み、床に入るところだった。

 春野宮も、隣の布団に身を移す。

「一…、後方支援は任せたよ…』

 横たわりながら、口にしたか、思ったか。

 分からぬまま、春野宮は、膳を僧兵たちと笑顔で片す一の姿を目に収めた。彼の姿に膜が掛かるように、瞼がゆっくりと落ちていく。そのまま、泥のように眠った。

第六話・弐・: テキスト
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