登場人物一覧
鬼殺隊 過去最強の柱達②
・柳生(やぎゅう)但馬守(たじまのかみ)宗厳(むねよし):鳴柱(なりばしら)
皆からは翁(おきな)と呼ばれ親しまれている、柳生新陰流(しんかげりゅう)の祖の一人。若手に一切を任せているが、いざというときの皆の精神的支柱であった。
後継に、春野宮より五歳年上の若者・波々伯部(ははかべ)梗岢(きょうか)がいる。どうやら元は細川の身内であったらしく、春野宮とは政敵に当たるようだ。だが、察した春野宮が関わらぬようにしたことで里での混乱はなく、連れて帰った翁の見立ては間違いがなかったらしい。剣術指南には巌勝が当たっていたが、甲の中でも一頭地を抜く強さを発揮し、己亡き後、梗岢は二代目鳴柱となった。
生前、翁は、頼もしい柱と後継に恵まれ、また、出身の大和は息子が立派に一族を纏めており、どうやら満たされていたようだ。比叡の戦いにおいて痣を発現させ不慮の死を遂げたが、残した言葉は感謝ばかりであった。
・貴船(きふね)義政(よしまさ):風柱(かぜばしら)
春野宮より三歳年上の兄貴分。大雑把な性格らしいが、気さくな人柄で鬼狩り若手の人気も高い。日々の生活はどうやら水柱の雪之丞が面倒を見ていたらしく、春野宮とは、最後、そんな会話を交わしていた。
何より、明るい性格が巌勝の心を惹き付けて止まなかったようだ。
巌勝の剣技は義政と共に過ごした時間の分だけ上達をし、義政もまた、巌勝の強さに引き摺られるように向上していった。最後の戦いでは春野宮と共に巌勝を足止めし、どうやらそれが、里を守った一番大きな戦果だったようだ。
柱達の中では足の速さも抜きん出ており、急を要する任務には、必ず義政が出向いていた。彼が自身の功名をひけらかすことなど一度もなかったが、柱達は、暗黙の内に頼る部分もあったようだ。
・錆沼(さびぬま)雪之丞(ゆきのじょう)清臣(きよおみ):水柱(みずばしら)
義政と同い年。とても穏やかな性格で皆から愛され、義政とはまた違った点で後輩達に慕われている好青年だった。隊士が鬼化した際には最後の最後まで、彼に語りかけ斬らずに済む方法を模索した。結果、隊士は必死に鬼化に抵抗し、里の情報も鬼舞辻(きぶつじ)に届くことはなく、里は九死に一生を得た。
柱の若手としては珍しく後進の育成に惜しみなく力を注ぎ、それもまた敬意に繋がっていた。お蔭で屋敷がとても賑やかなようで、義政も良く足を運んでいたことが、春野宮との会話で明らかとなった。
柱達の中では尤も話しかけやすい柱らしく、『昇麾下誕生』に一役買ったと言っても過言ではない。彼が持つ人間性は、少しずつ穏やかに、人を変えていく力があるようだ。
春野宮の夢見においては重要な人物であった。柔軟な姿勢が片時も春野宮の傍を離れず、どのような結末を辿っても、運命を共にすることになっていたようだ。彼が一体どんな思いで春野宮や双子を見ていたかは定かではないが、その眼差しは一度も揺らぐことはなく、里の柱達を見守り続けたと思われる。
・美濃部(みのべ)龍洞(りゅうどう):夢柱(ゆめばしら)
京(みやこ)一の色男を豪語する鬼狩り。里に届く贈り物から察するにあながち間違いでもないらしい。翁の勧めで鬼狩りになったようだが、出自や腕前は一切不明だった。
巌勝が里へ来たときには、彼の入隊のための御前試合に自ら志願し、刃を交えた。
表だって活動するよりは隠密裏(おんみつり)に事を運ぶことの方が得意らしく、梗岢のお家騒動の件では縁壱・惣寿郎二人の手足となって影で動いていた。梗岢が無事、翁・巌勝の元へ戻ることができたのも、龍洞のお蔭だった。
空里への移動の際には、彼がお庭番衆を纏めていることを惣寿郎以外の柱達も知ることになったが、別段その時は話題には上らなかったようだ。柱達の間では、それだけ、互いに互いの任務や役割に信頼を置いていると言うことなのだろう。
里での最後の戦いでは、たまたま西国(さいごく)にいた。日を置いてその事実を知った彼には歯痒い思いであったろうが、それが結果的には、里を無事に武蔵国へ移動させる布石になったと思われる。
ただ、彼が普段どれだけ裏方周りを一人で纏め整えているかは、終始、想像の域を出なかった。
・神々廻(ししば)主水(もんど):岩柱(いわばしら)
翁に次ぐ年嵩の鬼狩り。縦にも横にも皆より一回りも二回りも大きく、巨大な戦斧を軽々と使い熟す。高野山(こうやさん)の出身で、僧であった時の袈裟をそのまま身に纏って戦いに臨んでいた。高野には籍を置いたままであったがために繋がりが深く、彼の鎹鴉(かすがいがらす)・金剛丸(こんごうまる)は、神々廻の身辺を常日頃より報告していた。どうやら高野では、地位も高かったらしい。
常に岩麾下と行動を共にするため、柱達とは均等に距離を取っているように思えたが、柱の中では特に春野宮と任務を共にすることが多かったようだ。春野宮の節目の戦いには常に神々廻が傍におり、少年の心の内を慮っていたと思われるが、柱としての春野宮を人一倍信頼していたのも彼だった。最期の最後まで、彼が春野宮の取った言動を誰かに漏らすこともなければ、本人に問い質すことも決してなかった。
翁に言わせると巌勝に対しても甘いらしく、宵柱就任の祝い酒を準備しようと自ら言い出したりしていた。彼の実力及び、巌勝との間に何があったのかは一切不明であったが、神々廻の判断はいつ何時もぶれることはなかった。鬼が里へ襲来した時も、いち早く四方の銅鑼を鳴らさせ、先陣を切った。
彼が何を思い、柱二人の死をどう受け止めたかは語られぬままだが、巌勝の鬼化を考えては、深く心を痛めていたに違いない。
【最後に】
春野宮の視点が明らかになったことで、日夏の独自解釈ではありますが、戦国の柱達、四年の軌跡が見えてきました。それでも、いつかまた、柱の一人を取り上げて物語を紡ぐことが出来たなら、日夏自身、とても幸せなことだと思います。
今はそれまで…ゆめうつつ。
此方までお付合い下さいました皆様、本当に。ありがとうございました!
ひなつけい 拝